商品にとってパッケージは中身を保護する包装であると同時に、顧客の視覚へ直接的にアピールするツールです。そのデザインはプロモーション戦略の象徴ともいえます。そのためパッケージデザインで顧客の購買意欲を高める方法をまとめました。
パッケージデザインの訴求効果によって、顧客の購買意欲を高めていく上で意識すべきポイント4つを解説します。
ニーズは需要という意味ですが、需要には表面的に見えるものと、潜在的・内在的に存在しているものの2種類があります。そしてインサイトとは消費者の深層心理として存在している本音や本質的なニーズを意味する単語です。
例えば「見た目で分かりやすいデザイン」を求めるニーズがあるとして、その本質的な意図は「原材料や商品内容を確かめて安心感を得たいから」であるかも知れません。そのような場合、ただ内容物の写真を載せるのでなく、原材料や製法の伝え方に重きをおいたほうがよいケースもあるでしょう。
顧客の本質を意識することは訴求力を高めるデザイニングの基本です。
売り場には様々なメーカーや企業の商品が並べられており、自社製品はその中でどのようにして顧客へアピールしていくかを考えなければなりません。
単に注目度を強めるだけであれば派手なデザインにすれば良いでしょうが、悪目立ちするデザインは逆に商品の信頼性を損ねてしまう恐れもあります。競合商品との違いを生みつつ、商品の価値も高められるよう考えましょう。
商品のターゲット層に合わせてトレンドを取り入れたり、販売時期や商品の季節感に合わせたデザインを工夫したりといったことも重要です。また、トレンドと上手にマッチングさせることで、SNSで口コミの拡散に繋がることもあるでしょう。
日本語には「季語」という言葉があるように、デザインにおいても色や効果によって季節感を演出できます。加えて、包装紙の素材や質感、肌触りといった部分も季節感に合わせてみましょう。
商品の価値を分かりやすく伝えられるようなキャッチコピーを考えたり、一目で魅力を伝えられるようなアピールポイントを明確化したりと、特徴的な演出を意識することも欠かせません。
キャッチコピーは単にワードを考えるだけでなく、それ自体がロゴやデザインとしての価値を持つよう企画することも必要です。印象的なロゴやキャッチコピーは、それだけで商品の宣伝になったり企業としてのブランディングになったりと、販売戦略の要になることも少なくありません。
パッケージデザインと購買意欲の関係について、日本トレンドリサーチがスプリックと共同で行った調査によると、女性のおよそ半数が「パッケージデザインが購入の決め手になった経験がある」と回答しています。
同調査は、2023年8月11日~8月18日の期間に全国の男女各500名(合計1000名)を対象としてインターネット上で実施されたアンケートで、パッケージデザインと購買意欲について8つの項目が質問されました。
そして、その調査結果において、女性の49.2%が「質問1:パッケージのデザインが購入の決め手になった商品はありますか?」という質問に「Yes」と回答しています。
購買意欲の向上を目指してパッケージデザインを企画・制作する際、どのような点に注意すべきなのでしょうか。
景品表示法(景表法)は商品の効果や品質、内容などが適正かつ誠実に消費者へ伝えられるよう、様々な規則をまとめた法律です。
顧客への訴求効果を高めて購買意欲をアップさせようと、商品のパッケージデザインを考える場合に誇大広告や虚偽内容、実際の品質とは異なる情報などを掲載してしまうと、それらは景表法の違反となりかねません。
例えば国産の原材料を使っていないのに「国産」と銘打っていたり、通年販売されているのに「季節限定」と表示したりしていると、優良誤認や有利誤認といった違法表示になる恐れがあります。
パッケージデザインによって注目度を高めたりトレンドを生み出したりすることは大切ですが、コストをかけすぎて収支バランスが崩れてしまっては本末転倒です。
購買意欲を追求することはプロモーション戦略において重要なものの、パッケージデザインはあくまでも商品の本体でなく商品の看板であり、コストとメリットのバランスを考慮してコストパフォーマンスを高めていくことも重要です。
写真やイラストをパッケージデザインに取り入れるとして、ネット上で見つけた画像をダウンロードして使ったり、他人の作品や他社製品のロゴなどを模倣したりしてしまうと、著作権侵害や商標権侵害といった不法行為になってしまいます。
また、近年はAI(人工知能)によってイラストや画像を生成する生成AIツールも普及してきましたが、生成AIツールは著作権的にグレーな場合もあり、使用には細心の注意が必要です。
アンケート結果からも分かるように、市場においてパッケージデザインと購買意欲は密接な関係にあります。そのため魅力的なパッケージデザインを企画できれば購買意欲の向上も期待できるでしょう。
その反面、パッケージデザインでは注意点もあり、デザイニングには専門スキルが必要です。そのため自社のスタッフだけでデザインすることに不安がある場合、デザインのプロやブランディングのコンサルタントへ相談することも戦略の1つです。